スキップとローファーが好きで愛読しています。
最近最新刊の9巻が発売されました。
少しつっこんだ話をしたいので、以下はネタバレとなってしまいます。
9巻では美津未の地元である石川県凧島町(いかじまちょう)に友人達と旅行することになります。
高校2年生夏休みの思い出づくりです。
旅費が結構するので、一度はあきらめたのですが、あらためて考え直して、みんなを誘ってみた美津未でした。
三年生になれば受験勉強の期間に入ってしまうので、もうみんなで旅行に行く機会も失われてしまうと思い立ったのが理由です。
人生の中での二度と来ないであろう機会。それに気づいたのが美津未でした。
旅行に誘った友人達は親の援助を得て旅行に行くことが出来ました。
親からの資金、許可も得られる辺りにこの高校生達がすでに幸福であることが見受けられます。
登場する高校生達は進学校の生徒たち。
普段の努力や真面目な態度を見ている親からしても信頼もあり、機会があれば何かをしてあげようという理解もあるのでしょう。
一方的な甘えではないのです。
その一定の幸福が土台にある高校生達は、美津未の地元の空気感に無意識にも心地よさを感じているように思えます。
男女が混じってはいるが、そこに「人の欲」は描かれません。
その分、細やかな人の心情に気がつくような気がします。
美津未の友人のふみちゃんが美津未の友人たちと初めて会います。
東京の垢ぬけた高校生達に卑屈になることはありません。
人とまっすぐに向かいあえる態度が描かれている気がします。
美津未が自分から離れていっている想いも感じながらも、それが成長や時間の経過として起こる当たり前のこととして捉えられています。
過ぎてしまった幸福な時間への感謝があると思えます。
人には成長とともにそれぞれの期間があります。
高校時代は子供から大人へ変化し始める初めの期間かも知れません。
美津未達進学校の生徒達は、将来を見据えての受験勉強を経験しているのならば、普通の高校生よりは大人への自覚が少し早いのかも知れません。それも頭の良さと言えるのでしょう。
大人の世界を周りよりも早く経験していた志摩君は、少し混乱にいるように見えます。
一足先に大人の態度を知った志摩君は、飛び越えてしまった何かがあったようで、それを取り戻しに行くようです。